NW仮想化技術 <第3回> EVN

EVNとは

EVN(Easy Virtual Network)とは、1台のルータ上で複数の独立したルーティングテーブルを作成できる仮想化の技術です。EVNは、VRF-Liteの仮想化技術に基づいて実装されます。

EVNは、VRFよりも設定を簡素化させた( Easyにした )上で、ルータ上に複数の独立したルーティングテーブルを作成できることから、現在では、IOS XEのCiscoルータの実装では、構成に応じて、VRF-LiteよりもEVNにより仮想化させることをCiscoは推奨しています。

VRFの設定では、VRFインスタンスと物理インターフェース、またはサブインターフェースを紐づける必要があることから、VRFではVRFインスタンスの数だけルータのインターフェースの設定が手動で必要となっていました。EVNでは、この設定を自動化することができます。

EVNトランクインターフェース

下図の構成でVRF-Liteを実装する場合は、VRFごとにGi0/0にサブインターフェースを手動で作成する必要があり、そのサブインターフェースに個別に必要な設定をする必要があります。下図ではVRFが2つなので手間ではありませんが、VRF数が多くなると非常に煩雑となります。

一方、EVNでは、複数のVRFトラフィックを転送するCiscoルータの物理インターフェースでサブインターフェースを作成してくのではなく、EVNトランクインターフェースと呼ばれる
インターフェースを作成します。これにより、EVNと関連付けられた仮想ネットワークタグが設定されて、必要となるサブインターフェースが自動的に作成されることになります。

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EVNトランクインターフェースとエッジインターフェース

EVNでは、vnetトランクとなるインターフェースのことを、EVNトランクインターフェースと呼びます。VRF対応ではなくタグ付けを行わないPCやサーバなどが接続するインターフェースのことはエッジインターフェースと呼んでいます。各エッジインターフェイスは、1つの EVN にだけ所属するように設定されます。

ルータの物理インターフェースは、vnet trunkコマンドによりEVNトランクインターフェースとして定義されます。EVNはVRF-Liteと下位互換性がありますが、互換性を可能にするため、IEEE802.1qフレームのVLAN IDフィールドによって、仮想ネットワークタグ(Vnet Tag)を伝送します。

vnet global

ルータ上には「 vnet global 」と呼ばれる事前に定義されたEVNがあります。vnet global がデフォルトのルーティングテーブルでありグローバルルーティングコンテキストを表します。

デフォルトの設定状態でインターフェースはvnet globalに所属しています。vnet global は、常にトランクインターフェース上で実行され、タグなしトラフィックを伝送します。なお、EVNの実装時に、IPv6のトラフィックについてはこのvnet globalでのみサポートされます。

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