サーバ仮想化、ネットワーク仮想化の技術解説(基礎)をまとめました。
本解説はNWエンジニアの仕事、CCNA、ネスペ、CCIE筆記で役立つ内容となっています。
SDN(Software-Defined Networking)は、「 ソフトウェア定義型ネットワーク 」であり、プログラム可能なソフトウェアとしてネットワークインフラを柔軟に構成・制御できるようにするためのアーキテクチャであることから、正確にはSDN=ネットワーク仮想化技術ではないのですが、ネットワークの仕組みを抽象化(仮想化)している点もあり、リンク先の解説項目では「サーバ仮想化」と「ネットワーク仮想化」という技術項目に分類して解説しています。
※ 基礎のみの解説なので、より詳細に学習したい方は参考書を手に取ることをお勧めします。
SDNの導入状況、導入経験について
いわゆるSDN製品は、検証すればするほど導入してメリットのあるネットワークシステムは、限られていると実感するのですが、国内市場予測では「 高い成長を続ける 」とありますね。SDNの万能性という幻想を打ち砕かれたとはいえ、データセンターにおける市場や通信事業者のインフラでは引き続き堅調な伸びがあるからでしょうか。
それでは、いわゆる企業ネットワークではどうでしょうか。これもまた伸びていくという予測がありますが「SDNを導入したい!」というお客様から要件ヒアリングを行うと、SDNを導入することによるデメリットがメリットを上回ることが多いと感じることがよくあります。
そういう場合はデモや検証センターなどで、SDNソリューションがどのようなものなのかを、感じて頂いた後に導入するかを決めて頂いています。その際に通信要件を適当に決めた後に、実際にお客様にも設定・操作して頂くことが重要です。※ 入札の場合そんなことしないです。
というわけで、通信事業者を担当していない当方は、まだ数えるほどしかSDN案件を経験したことしかありませんが、引き続き市場規模が伸びていくことを鑑みて、いわゆるEP担当の人もSDN技術のスキルアップをがんばることが重要です。数多くのSDNソリューションに精通するのではなく、会社として力を入れているSDNソリューションに絞って、特定製品を得意分野にする形でスキルアップしていくことが、ワークライフバランス的にも重要だと思います。
CCNA ICND2の試験範囲
技術解説のなかで「サーバ仮想化」については、以下のクラウドコンピューティングだけが、実質的な試験範囲なのですが、以下の解説を理解するためには「サーバ仮想化」の基本を理解している必要があり、以下の記事だけでなく、順番に4つの記事を読むことをお勧めします。
次に「ネットワーク仮想化」の記事は、試験範囲の全記事を読んで頂くと試験で役立ちます。Cisco IWAN(インテリジェントWAN)については、APIC-EMで利用できるアプリとして紹介しているだけなので詳しく学習する必要はないと思いますが、概要は理解しておきましょう。
◆ SDNとは
これらは難しい技術かもしれませんが、CCNAですから試験問題自体はとてもシンプルです。
設計や設定などに関して詳しく問う問題はありません。ですからある程度理解できれば、問題慣れしていきましょう。今回の技術解説である「仮想化をはじめから」のコンテンツは市販のCCNA教科書よりもかなりボリュームが多くなりましたが、体系的に技術習得ができます。
ネットワークスペシャリストの試験範囲
ネットワークスペシャリスト試験では、SDNの2つの方式として「ホップバイホップ方式」と「オーバーレイ方式」の用語が問題文としてあるので、こちらの記事も含めてご参考下さい。Cisco ACIに関してはメーカ独自であるとはいえ、OpFlex等のプロトコルは知っておいた方が良いですので、できれば「仮想化技術をはじめから」の全記事をご参照頂ければと思います。
Cisco認定試験で「ホップバイホップ方式」や「オーバーレイ方式」などの知識や理解が問題として問われないのは、おそらく、Cisco ACIではホップバイホップやオーバーレイ方式は、「これまでのSDN」と位置付けており、Cisco ACIはそれを超えた革新的SDNソリューションとして位置付けたいからだと思われます。製品紹介資料を読む限りそう感じました。
そして、NFV(Network Functions Virtualization)についても目を通しておきましょう。ネットワーク機能仮想化であるNFVについては、SDNに比べて実際にそのソフトウェアを導入した経験のあるネットワークエンジニアは多いかと思います。と言いますか、NFVという技術用語を知るよりも先に製品導入した人も多いのではないでしょうか。それくらい一般的です。
◆ NFV(Network Functions Virtualization)とは
SDNにしても、NFVにしても先ずは「VMware製品」について慣れ親しんでおくことが重要となりますので、ネットワークエンジニア、サーバエンジニアに関係なくVMwareについては、ある程度は自由自在に扱えるようになりましょう。
以上は、ネットワークスペシャリストのWeb教科書(ネスペイージス)にも反映させました。
CCIE v5.1 筆記試験の「Evolving Technologies」の範囲
新試験の新分野であるEvolving Technologiesには、大きく以下の3つの範囲があります。
・ 7.1. Cloud
・ 7.2. SDN – Network programmability
・ 7.3. Internet of Things
今回解説した記事では「Cloud」と「SDN」の試験範囲に直結するように解説しているので、ご参考頂ければと思います。解説記事を読まれた方は「 基本的な部分しか解説がない! 」と思われるかもしれませんが、CCIE筆記の新分野の試験問題はこのレベルでした。たとえば、SaaS、PaaS、IaaS関連は、解説図の絵を見ておけば解けるようなレベルの問題です。ただし全ての試験範囲は網羅できていないので、あくまでも学習の補助として役立てて頂ければと。
※ CCIE Exam Topicでは「XaaS」とありますが、SaaS、PaaS、IaaSの総称のことです。
また、IoTについては別途解説します。例えば「長距離 & 低電力」のIoT向け通信のLPWAについて簡単に紹介すれば試験で役立つのかもしれませんね。例えば、IoTでやり取りされるデータは小さなデータがほとんどであり、一定の低速通信( ナローバンド )で十分ですよ、などとそういった基本的な技術解説をすれば試験で役立つのかもしれませんね。
※ 2017年2月22日追記:IoTの技術解説を追加しました。
⇒ IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とは
本解説は、ITエンジニアに役立つ「基本的なIoTの解説」としていますが、それだけでなく、当方がCCIE更新試験(v5.1)を受けた時に出題されたIoTの試験範囲もカバーしています。IoTは1問だけ出題されたのですが、このレベルを理解していればIoT部分は解けるはずです。
Cisco Nexus – OpenStackとの連携
こちらの解説も豆知識として知っておきましょう。Ciscoは、OpenStack Neutronに対してNexusのプラグインを提供しています。その結果、NeutronのAPIからNexusのL2/L3設定など様々な設定を行うことが可能になり、管理者はOpenStackからでもNexusで構成されたネットワークを柔軟に管理することができます。ネットワークインフラをNexusスイッチで構成している場合、このOpenStackとの連携は、IaaS基盤の統合管理というメリットもあります。
CCIE筆記試験、CCIEラボ試験で必要となるネットワーク技術解説の「大項目」はこれで完了しました。あとは、どこの解説がCCIE筆記対策onlyで、どこの解説がCCIEラボ対策なのかを固定ページでまとめた上でラボで役立ちそうな技術を少しずつ追加していきたいと思います。