レベルルーティング
Integrated IS-ISでは、OSPFと同様に、NW全体を複数のエリアに分割してルーティングする
階層ルーティングを採用していますが、Integrated IS-ISではレベルルーティングという概念によってそれを実現しています。ルーティングのレベルには0、1、2、3 の4段階があります。
◆ Integrated IS-ISのレベルルーティング
レベル | ルーティング範囲 | 使用プロトコル |
0 | ホストとルータ間 | ES-IS |
1 | エリア内 | IS-IS |
2 | エリア間 | IS-IS |
3 | ドメイン間 | BGP |
純粋なOSI環境(CLNS/CLNPルーティング)の場合、レベル3のドメイン間ルーティングはISO-IGRP、IDRP、スタティックCLNSルートなどを使用していましたが、IPも統合された
環境ではつまりIntegrated IS-ISでは、ドメイン間ルーティングでは「BGP」を使用します。
さらに、今日のOSIネットワークにおいても、IDRPからBGPへリプレースされています。
In OSI networks, the original intended routing protocol was Inter Domain Routing Protocol ( IDRP ) . However, with BGP being a multiprotocol interdomain routing protocol also capable of carrying information about NSAP address, today’s OSI networks are replacing IDRP with BGP.
参照:CCIE Routing and Switching Official Cert Guide Library
・ レベル0ルーティング
⇒ ES(ホスト)からのパケットがIS(ルータ)に転送。同一サブネットに宛先のESが存在する場合には、引き続きレベル0ルーティングによって宛先となるESへパケットを転送する。
・ レベル1ルーティング
⇒ パケットの宛先が同じエリア内に存在する場合、エリア内の最寄となるISへと転送。
・ レベル2ルーティング
⇒ パケットの宛先が異なるエリアに存在する場合、異なるエリアの最寄となるISへと転送。
・ レベル3ルーティング
⇒ パケットの宛先が異なるドメインに存在する場合、異なるドメインの最寄となるISへ転送
レベル1ルータ、レベル2ルータ、レベル1/2ルータ
Integrated IS-ISでは各IS(ルータ)にはルーティングのレベルが決められており、実行するレベルに応じて、レベル1ルータ、レベル1/2ルータ、レベル2ルータと定義しています。
名称 | ルーティングレベル | 説明 |
レベル1ルータ | レベル1 | エリア内のルーティングを実行 |
レベル2ルータ | レベル2 | エリア間のルーティングを実行 |
レベル1/2ルータ | レベル1とレベル2 | エリア内とエリア間のルーティングを実行 |
◆ IS router will an ISIS Level 1 IS exchange routing information with Level 1 ISs in the same area.
・ レベル1ルータ
⇒ レベル1ルーティングを行う。OSPFでいうスタブエリア内のInternalルータ。
・ レベル2ルータ
⇒ レベル2ルーティングを行う。OSPFでいうバックボーンエリア内のInternalルータ。
・ レベル1/2ルータ
⇒ レベル1ルーティングとレベル2ルーティングの両方を行う。OSPFでいうABR。
レベル1ルータ、レベル2ルータ、レベル1/2ルータが保持するルート情報は下図の通りとなります。レベル1ルータが「OSPFでいうスタブエリア内のInternalルータ」と説明している理由を理解できると思います。つまり、レベル1/2ルータは、レベル2のルート情報をレベル1へとルート再配布せず、レベル1へ他エリアのルート情報をデフォルトルートとして通知します。
Integrated IS-ISのエリアIDは、上図のように「エリア1」という短い値ではなく、実際には「エリア49.0001」というような値となりますが、分かりやすさの観点から下図では省略してエリアIDを表記。上図では、各ルータがどのようなルートを保持するのかを理解しましょう。
次回は、Integrated IS-ISのセグメント上の指名ルータである「 DIS 」について解説します。