NTTドコモと住友林業は、4月19日に実施した林業従事者の安否確認・事故検知の実証実験でLPWAと衛星回線を活用し、携帯電話の圏外エリアで緊急通信が可能となることを確認。
2019年度中に、安否確認・事故検知ソリューションを実用化することを目指しています。
※ LPWA(Low Power Wide Area)は、消費電力を抑えて長距離通信可能な通信方式です。LoRaWANはLPWAの通信規格の1つであり、省電力、低速、数kmの広域通信を実現します。
◆ 実験の様子(出典:住友林業 ニュースリリース)
1.実験概要
実施日
2018年4月19日(木)実験場所
住友林業の和歌山県内の社有林の実作業環境実験の目的
― 山林におけるLPWAの電波到達距離や森林や地形による影響を評価
― LPWA子機で得た情報の衛星回線経由におけるアップロード可否を評価
2.実験方法
LPWAの方式としてLoRaWANと、ソニーのLPWAの2種類を用いて検証。GPS受信可能なそれぞれの方式のLPWA子機を山林内で移動させ、それらの位置情報をLPWA親機(受信機)が受信して、衛星回線経由でクラウドサーバへとアップロードする構成。子機の移動範囲は、林業従事者が実際に作業する場所を含む林道や山中、尾根、谷部分で計測。
3.実験結果
LoRaWANとソニーのLPWAにおいて、山林でも4キロメートル以上の距離で通信が可能であり、木などの障害物への耐性が強いことを確認しました。また、LPWA受信機を衛星回線経由でインターネットと接続し、携帯電話ネットワーク圏外エリアにおいても、リアルタイムにLPWA子機の位置情報を遠隔で確認することができました。
得られた実験結果から、「LPWA子機に緊急通報ボタンによる通知のほか、転倒などの検知を行うセンサーを実装することで、山林でも自動で緊急通報が可能となるネットワーク環境の構築」に目途がたったようです。
林業事業者は携帯電話のエリア圏外での作業が多く、万が一事故が発生した場合には、近くに作業者がおらず事故に気付かない、救急要請のために時間がかかる課題がありましたが、今回のソリューションがこのような課題解決のために役立ちますね。本当に素晴らしいです。